「始まり」のKeith Jarrett、1971年

Keith Jarrettの「始まり」、Jack DeJohnetteとのデュオ。

Ruta and Daitya

1971.05.録音、マイルスのバンドに加わって1年経過、辞める半年前。

ECMからの発売は、1971.11録音のFacing Youよりもあと。

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ピアノ、エレピ、オルガン、フルートを使い分けるキース。パーカッションとの絶妙な絡み。

 

 同時代の音楽、という意味での、コンテンポラリー・ミュージック、「いま」の音。それがいまでも「いま」の音と感じられるところがすごい。できるかぎり大きな音で聴くべきなのだと思う、現実には困難なのだが。

 

キースを初めて聴くひとがこれをいきなり受け入れられるかというと、それは難しいような気がする。自分の経験上。その意味では、聴き手にとってRuta and Daityaは「始まり」には当初はならない。一通りキースのその後を聴いて、その多様性を頭ではなんとか整理しかけたときにこれを聴くと、スッと入ってくる。5年後のThe Survivors' Suiteの音も聞こえてくる。エレピ、オルガンの使い方は、同時期のマイルス・バンドを思わせる。

 

 これを受け入れられたときが、キース・ジャレットの「聴き手」としての誕生。その意味での「始まり」。そしてキースにとっては、post-Milesの「始まり」。