1971年、Chick Coreaの音
驚異の1971年、個人的にはChick Coreaの到達点。
Dave Hollandと一緒にマイルス・バンドを辞めた後の音。
A. R. C.
1971.01
Dave Holland, Barry Altschulとのトリオ。
1曲目はWayne Shorter作の "Nefertiti"だが、ところどころ辛うじてそうだとわかる、というのがすごい。
これをフリーだとかなんだとか言う必要はないと思う。
ピアノの音の美しさと強さ。マイルスのところで2年間おもにエレピを弾いていた影響が、このピアノの音に表れているということなのだろうか。
そしてベースとドラムの必然性の応答。
1970.12にKeith Jarrettがマイルス・バンドで Live Evilに収められるThe Cellar Door Live。
1971.01にChick CoreaがA. R. C.、そのあとにAnthony BraxtonとParis Concert、ソロでPiano Improvisations。
Keith Jarrettはマイルス・バンドを続けながら1971.05にRuta and Daitya、そのあとにトリオとアメリカン・カルテットで3枚、そして1971.11にもうひとつの「始まり」のFacing You。
Wayne Shorterが1971.02&03にWeather Report
Post-1968 Milesの驚異の年、1971年。
驚異の1971年、In a Silent Wayのあと、だが
Weather Reportの第1作、驚異の1971年。
Wayne Shorterの何度目かの「はじまり」。
Weather Report
1971.02&03.
Joe Zawinulがいかに1 年前録音のIn a Silent Wayの中心だったのかがわかる1枚だが、少々ものたりない。
ドラムが軽すぎないだろうか?曲も短い、いまひとつ没頭できない。
ぎりぎりのところで音が鳴っている感じがしない。
たぶんまだWeather Reportの聴き方がわかっていないのだと思う。
B面の方がよいような気がする。
マイルスからもうすこし離れた場所で、さらに一歩
Duke Pearsonがエレピを弾きプロデュースする1969年のDonald Byrd。
Fancy Free
1969. 05&06.
これもエレピとパーカッション。
それとフルート。
Return to Foreverの最初とおなじ音の感触。
ただし、Chick Coreaの方がいろいろな意味で上手い、聴かせる。
マイルスからすこし離れて響く1968年の音
マイルスたちからはすこし離れた場所で鳴っていた1968年の音。
1960年代のBlue Noteのオルタナティヴな導き手、Duke Pearson。
The Phantom
1968. 06
Bobby Hutchersonのヴィブラフォーンと、ふたりのパーカッショニストのコンガが効果的。南米の雰囲気。
B2の"Say You're Mine"は、Donald Byrdが演ってたあの曲か、と。
フィルモアとワイト島のあいだのChick Corea
1970.06のMiles at Fillmoreと1970.08のMiles at the Isle of Wightのあいだ、 Joe Farrellのリーダー作に参加のChick Corea。
Joe Farrell Quartet
1970.07.
Joe Farrellのサックスとフルート、この時期のマイルスのリズムセクションChick Corea, Dave Holland, Jack DeJohnetteに、1年前録音のBitches Brewで共演したJohn McLaughlinのギター。
この後のAnthony BraxtonとのCircleにも近いフリーな音も。
「始まり」のKeith Jarrett、1971年
Keith Jarrettの「始まり」、Jack DeJohnetteとのデュオ。
Ruta and Daitya
1971.05.録音、マイルスのバンドに加わって1年経過、辞める半年前。
ECMからの発売は、1971.11録音のFacing Youよりもあと。
ピアノ、エレピ、オルガン、フルートを使い分けるキース。パーカッションとの絶妙な絡み。
同時代の音楽、という意味での、コンテンポラリー・ミュージック、「いま」の音。それがいまでも「いま」の音と感じられるところがすごい。できるかぎり大きな音で聴くべきなのだと思う、現実には困難なのだが。
キースを初めて聴くひとがこれをいきなり受け入れられるかというと、それは難しいような気がする。自分の経験上。その意味では、聴き手にとってRuta and Daityaは「始まり」には当初はならない。一通りキースのその後を聴いて、その多様性を頭ではなんとか整理しかけたときにこれを聴くと、スッと入ってくる。5年後のThe Survivors' Suiteの音も聞こえてくる。エレピ、オルガンの使い方は、同時期のマイルス・バンドを思わせる。
これを受け入れられたときが、キース・ジャレットの「聴き手」としての誕生。その意味での「始まり」。そしてキースにとっては、post-Milesの「始まり」。
過渡期的「始まり」前夜のHerbie Hancock
1968年のHerbie Hancock, Speak Like a Child。個人的な好みでいえば、これがハービーのジャズ的到達点。
Miles in the Skyのセッションが1968年2月と5月、その合間に録音。
1968.03.
ベースはマイルス・クィンテットからRon Carter、ドラムはMickey Roker。
リズムセクションというよりは、メインのピアノトリオ。そこに3管アンサンブルが加わって、ハービーのピアノがより際立つ。前作Maden Voyageも疑いの余地なく名盤だが、音構成のデザインがまったく違う。
このデザインの延長線上では、これ以上の作品を作れず。つぎの新たな展開はリズムの刷新。奇跡の1972年、Sextantがその到達点。Head Huntersのひとつ前。